プリウス保有なら10年でその差400万円? カーシェア節約術

どんな節約よりも車両費の見直しを!

 節約というと、食費や雑費などの流動支出に目がいきがちですが、これらの費目は単価が低く、頑張ったわりに節約効果が出にくいもの。それよりも、節約効果を実感できるのが車両費の見直しです。

 車には購入費用だけではなく、ガソリン代、定期的なメンテナンス代も必要です。使っていなくても、駐車場代、保険料、税金は払います。一度見直すと家計への影響がとても大きいのです。

 そこで、ここ数年広がっているのがカーシェアリング。複数の人が1台の車を共同利用するという考え方で、車の所有・維持にかかる税金、保険料、メンテナンス代、ガソリン代、駐車場代などの諸経費はすべて利用料に含まれており、会員登録しておけば、使いたいときに手軽に車を利用できます。

 レンタカーに似ていますが、カーシェアリングは15分単位の短い時間で利用できるのが特徴です。

2011年頃からカーシェアリングの車両台数、貸し出しステーションが増えてきたこともあり、会員数が急増しています。交通エコロジー・モビリティ財団によると、02年に50人だった会員数は13年1月時点で約29万人。貸し出しステーションも、全国に5641カ所あるようです。

実際、利用料はどのくらいか、カーシェアリングのサービスで業績を伸ばしている「タイムズカープラス」の場合で見てみましょう。

 まず、初期費用として会員カードの発行料1500円がかかります。このカードが車の鍵代わりになり、車にかざすとドアが解錠されます。このほか、個人会員なら月額基本料が1000円必要です。

 あとは、パソコンや携帯などから予約して、15分単位で使った分だけクレジットカードで支払えばOK。利用料は車種によって異なり、マツダのデミオ、トヨタのプリウス、ホンダのフィットなどは15分200円。BMWやアウディなどハイクラスの輸入車などは15分400円となっています。

さて、このカーシェアリングを使った場合と車を購入した場合で、どの程度の差額が出るか、試算してみましょう。

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たとえば、トヨタのプリウスを週2回、3時間ずつカーシェアリングで利用した場合、月額1万9200円かかります。ガソリン代などのランニングコストがすべて含まれているので、10年間使用したとしても230万4000円(初期費用除く)。このほかに、旅行や遠出でレンタカーを借りたとしても10年で300万円はかからないでしょう。

 一方、プリウスを買った場合、車体価格・諸費用が263万円。このほかの経費で、10年間にかかる費用は約640万円程度と見積もられます。設定により差は出ますが、このケースでは、カーシェアリングを利用すると、車を購入するよりも10年で約410万円、節約できる計算です。

節約以外に、カーシェアリングならではの楽しみ方もできます。車種が豊富なので、用途に合わせて「今日はデミオ」「今日はアウディ」と選ぶことができるのです。

 ただし、貸し出しステーションが近所にないと利用しにくいし、共同で利用するので使いたい時間に車が空いていない、というようなことはあります。

 保育園の送り迎えのために毎朝夕必ず車を使いたい、といったケースには不向き。その場合は、カーリースなど、生活のパターンに合わせて車両費を抑える方法を考えてみましょう。一定期間だけ車を使いたい、という場合、こちらも購入するよりもずっと安く済みます。

 ひと昔前まで「一家に一台」が当たり前だった車ですが、今はさまざまな選択肢があります。価値観やライフスタイルに合わせ、上手に車を使いたいものです。(※価格はすべて13年5月時点)(ファイナンシャルプランナー 山口京子 構成=早川幸子)(PRESIDENT Online)

  

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